【〜第62回(2024/12/20)まで】薄明塾読書会の全活動記録/感想レビュー

次回以降の募集

第63回:2025年1月24日(金)19:00〜 / 梅田 詳細・申込はコチラ


第64回:2025年2月21日(金)19:00〜 / 梅田 詳細・申込はコチラ

 

目次

第62回ー2024年12月20日

新訳 弓と禅 付・「武士道的な弓道」講演録 ビギナーズ 日本の思想 / オイゲン・ヘリゲル (著), 魚住 孝至 (その他)』 『プリンキピアを読む―ニュートンはいかにして「万有引力」を証明したのか? / 和田 純夫』 『本の読み方 スロー・リーディングの実践 / 平野 啓一郎』 『研究者としてうまくやっていくには 組織の力を研究に活かす / 長谷川 修司』 『読書効果の科学: 読書の“穏やかな”力を活かす3原則 / 猪原 敬介』 『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 / 東 浩紀』 『チョコレ-トの世界史: 近代ヨ-ロッパが磨き上げた褐色の宝石 / 武田 尚子』 『「人の器」を測るとはどういうことか 成人発達理論における実践的測定手法 / オットー・ラスキー (著), 加藤 洋平 (翻訳), 中土井 僚 (翻訳)

第61回ー2024年11月29日

『ギリシア人の物語1:民主政のはじまり / 塩野七生』 『戦略の地政学 ランドパワーVSシーパワー / 秋元千明』 『印欧語の故郷を探る / 風間喜代三』 『生きるということ / エーリッヒ・フロム (著), 佐野 哲郎 (翻訳)』 『風呂と愛国: 「清潔な国民」はいかに生まれたか / 川端美季』 『神々の沈黙──意識の誕生と文明の興亡 / ジュリアン・ジェインズ (著), 柴田 裕之 (翻訳)』 『HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプット マネジメント) 人を育て、成果を最大にするマネジメント / アンドリュー・S・グローブ (著), ベン・ホロウィッツ (その他), 小林 薫 (翻訳)』 『心を磨く 中村天風講演録 / 中村天風』 『学びとは何か――〈探究人〉になるために / 今井 むつみ』 『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50 / 山口周』 『サンタクロースの大旅行 /葛野浩昭 』

 

『風呂と愛国: 「清潔な国民」はいかに生まれたか / 川端美季』

今年読んだ中でもベスト10には入れたいinterestingな書籍。膨大な参考文献と引用元情報から風呂の歴史と「清潔」という概念の成立を追います。人物史や国史と違って風俗史(生活史)にあたるものですから情報元を見つけるのは大変。誰々の随筆に記述があったとか行政文書に残っていたなどなど、本当に様々なところから確かな記録を持ってきて記述してあります。

要約すると「日本人は風呂好き=YES / 日本人は清潔 = YESとは言えない」が本来の歴史と言えそうなんだけれど、西洋で起こった公衆衛生運動、病気対策から始まった衛生活動から清潔で衛生的なのは社会的に"ちゃんとしている"という概念への動きがあり、近代化して西洋と並び立ちたい日本はこの「風呂好き」要素をうまく利用して「風呂好き=清潔」への結びつきを図って諸外国へのアピールとしても利用していった、というような内容示唆が面白い。

人類史は偉人よりも実際に生きた名もなきすべての1人1人の集積物だと私は考えていて、その部分にしっかり刺激をくれます。あとは家政書の歴史を追って子どもを風呂に入れて清潔にする=女性に出来る国家奉仕であって選挙権がない頃のアイデンティティでは?という仮説なども。「あんた!もうお風呂はいったの!」という今日にも続く教育の萌芽はここか。

風呂キャンセル界隈という今SNS上にある単語から「はじめに」を記述していくが、この風呂キャンセル=日本家庭における教育と道徳感の低下減少としても捉えられるかもしれない。

 

『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50 / 山口周』

初参加いただいた方の持ち込み書籍。この本は冒頭で「自分が武器として利用できた項目のみを扱う」と宣言されており、著者自らがバイアスをかけた解説をしていくことを明言している。各種レビューでは薄いとか哲学じゃないだとかの指摘があるが、この指摘を考慮すればそのへんは別に議論する必要は無さそう。いわゆる道具主義のようなものかと。実際ところ書かれているものは哲学ではないと個人的には思いますが、なにが哲学か?を問うこと自体が哲学なので堂々巡り。ここでは触れない。非常にコンサルタントらしい文体と内容です。

個人的にこの本のもっとも楽しめるところは巻末ブックガイド。扱った項目の元になった哲学書が紹介されているが、それぞれに著者の紹介文章が入っている。「なるほどそのように紹介できるのか」といった視点の面白さはマーケティング本を読んで勉強するよりもよっぽどマーケティングの勉強になると思います。

 

 

第60回ー2024年10月4日

アート・ローの事件簿 美術品取引と権利のドラマ篇 / 島田真琴』 『モンゴル帝国 草原のダイナミズムと女たち / 楊海英』 『読書からはじまる / 長田弘

第59回ー2024年9月19日

現場でよくある課題への処方箋 人と組織の行動科学 / 伊達 洋駆』 『すばらしい人体 あなたの体をめぐる知的冒険 / 山本 健人』 『リーダーシップ・シフト 全員活躍チームをつくるシェアド・リーダーシップ / 堀尾 志保, 中原 淳

『現場でよくある課題への処方箋 人と組織の行動科学 / 伊達 洋駆』:人と組織に関するアカデミック的な研究がひたすら記載されている辞書です。現場にある課題→研究とエビデンスに基づく処方箋(となる可能性のある行動様式の紹介)→副作用、という形式で人と組織の問題に1問1答します。すべての情報に出典元が記載されておりアカデミックな真摯さが特徴で、特に「副作用」として警告が載っている点が素晴らしいです。たとえば昨今話題の心理的安全性ですが「職務権限が大きく役務が明確であり、働く人同士の職務内容がある程度重なっているほど高まる」という処方箋がエビデンスのもとに提示されています。しかし、「個人主義(これも明確な定義のもと解説されていますが長いので割愛)が高いメンバーの場合、心理的安全性は"快適にサボる"状態を生み出し、モチベーションや発言量や自律的な学習行動を低下させる」ということも示唆されています。組織において心理的安全性は最重要だ!という言説が多い中、このような指摘もきっちり行ってくれるのが本書です。

第58回ー2024年8月21日

『兵法三十六計―世界が学んだ最高の”処世の知恵” / 守屋 洋』 『プロ棋士の思考術 / 依田 紀基』 『ザ・メンタルモデル 痛みの分離から統合へ向かう人の進化のテクノロジー / 由佐美加子, 天外伺朗 』 『看板のない居酒屋 / 岡村 佳明 』 『言語の本質-ことばはどう生まれ、進化したか / 今井 むつみ , 秋田 喜美 』 『インプット・ルーティン 天才はいない。天才になる習慣があるだけだ。 / 菅付 雅信』 『自然農法 わら一本の革命 / 福岡 正信』 『私を救った言葉たち / 山口路子』 『教養としての「世界史」の読み方 / 本村 凌二』 『「科学的に正しい」とは何か / リー マッキンタイア , 網谷 祐一 (監修), 高崎 拓哉 (翻訳)』 『パーティーが終わって、中年が始まる / pha』 『「空気」の研究 / 山本 七平』

 

 『教養としての「世界史」の読み方 / 本村 凌二』 :教養ブームが広がるにつれ、世界史解説の書籍が大量に発刊されている。しかし、その多くは「専門家によるものではなく、わかりやすく簡略化されたものばかり」というのが著者の指摘。池上彰さんや出口治明やYoutuberなどなど。言ってしまえば事情に詳しい詳しい門外の人であり、たとえとして正しいかわからないが、野球をずっと好きで追いかけてきたオッサンが野球史について語ってるようなものである。専門家が専門家として世界史を縦軸(時系列)横軸(地域差)を通して、世界史を「世界各国の歴史」としてではなく、「世界を歩んできた人類の歴史」という切り口で取り組むという意欲作。著者は私見としてグローバルスタンダードの教養を「古典」と「世界史」と位置づけている。古典は人類が残したいと思う意思をもって紡いできたから残ってきたもので、それは「人類の普遍性(一定の法則)」たり得る。世界史は「人類が積み上げてきた経験値の結晶」であって、これを活かさないのは先輩の作ってきたマニュアルや資料、メモを活かさず仕事をするようなもの。

 

『プロ棋士の思考術 / 依田 紀基』 :「最後の無頼派」と言われる、豪遊、酒、女、博打、借金と、今では見ないド派手な生き様をぶっぱなしてきた囲碁棋士の考えてることと、それに付随した自伝。タイトルは「プロ棋士の思考術」とついているが、基本的に「術」=すべ。つまり方法論、については書いていない。自伝が主であって、その中で考えてきた実体験(=思考)を書いている書籍。まさに破天荒な生き様で、一冊の小説を超える魅力的なエピソードの数々は大変面白く読めます。特に響いた一説としては、韓国で囲碁のトッププロである李昌鎬(16歳で世界大会優勝、最多勝利数を持つ最強プロ)との対談において、李昌鎬も著者も「生まれ変わったらまた囲碁棋士をやりたいか」について「NO」と答えるところ。金銭面でも名誉面でも最高の成功を収め、子どものころから熱中できた大好きな囲碁で暮らしている二人がNOと言う。野球やサッカーなどの多くのプロは生まれ変わってもまたその職業を選ぶように思うが、彼らは違う。そこに囲碁という世界の過酷さを感じました。

 

第57回ー2024年8月1日

 

『アフリカ哲学全史 / 河野 哲也』 『崩れゆく絆 / アチェベ,粟飯原 文子 (翻訳)』  『人が動きたくなる言葉を使っていますか / ひきた よしあき』 『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち/レジー』  『ベートーヴェンの生涯 / ロマン・ロラン, 片山 敏彦 (翻訳)』 『働き方の哲学 360度の視点で仕事を考える / 村山昇』 

 

『アフリカ哲学全史 / 河野 哲也』:7月10日発売の新刊。新書コーナーにてタイトルに惹かれて購入。まず、私はまったく「アフリカ哲学」というものを知らない。というかその表現すら聞いたことがない。書籍の序文を見てみると1行目に「本書の意図」があり、"アフリカ哲学というものを日本に伝えるのが目的である"と書かれている。著者いわく、アフリカ哲学を書いた日本で最初の書籍となるとのこと。日本において、アフリカ哲学は登場したとしても基本的に政治思想や歴史の文脈において登場ばかりで哲学として切り出していることはない。

人類が最初に誕生したのがアフリカである。人間とはなにか?を問いながら考えることを追求する哲学というものがアフリカにない、という解釈は確かに違和感がある。伝わっていない、知らないだけで確かに存在する。アフリカ哲学という分野は2020年以降、西洋においてはアフリカ哲学はたくさん翻訳され、話題になっているらしい。日本にはその潮流がないのでその第一歩としたとのことである。非常にそそられすぎる始まり方だ。

 

本書にはもう一つ目的があるらしく、それは「知の三点測量」と表現されている。

西洋哲学と東洋哲学という文脈では、どうしても西洋か東洋かという二元論、対立関係になるし、そこには外のエネルギーすら加わる(たとえば政治的な事情など)。これに対して、アフリカ哲学が確立されれば、西洋と東洋とアフリカの3点になり、対立ではない「相対性」を生みやすい環境が用意できるのではないか?その著者の試みがどのようになっているかまでまだ読めていないが、これから読むのが非常に楽しみである。本書、新書だが450ページ以上もあって重厚。しかも使える前提知識がほぼないので時間がものすごくかかりそうだが、しっかり取り組んで読みたい。

 

第56回ー2024年7月18日

『ケマル・アタテュルク オスマン帝国の英雄、トルコ建国の父/小笠原弘幸』『人を追いつめる話し方 心をラクにする話し方/ひきた よしあき』『自分に負けない生きかた/デヴィッド・シーベリー』『知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ/苅谷 剛彦』 

 

『ケマル・アタテュルク オスマン帝国の英雄、トルコ建国の父/小笠原弘幸』:1924年に建国したトルコは今年で100周年。その建国において活躍し、「トルコの父」たる称号「アタテュルク」という名を与えられた偉人ケマル・アタテュルクの人物史を通してトルコ史や中東史を追います。あまりの偉大さからケマルを批判することは法律で禁止されていたそうで、逸話はまさに英雄として誇張された逸話となっていることも多く、フラットな実像に迫ることは難しいといいます。

本書は「あらためてケマルの実像に、良いも悪いも含めて向き合い、もう一度トルコ主義や当時中東やバルカン半島で盛り上がったナショナリズム、多民族多宗教国家においてのイスラム教の在り方」などを解き明かしていきます。「祖国に平和、世界に平和」をスローガンに第二次大戦では末期まで中立を維持、その実現のために独裁的ともいえるトルコ主義を進めた彼や国民がなぜそう至ったのか、彼の人生と当時のトルコ情勢の中にある各種の出来事をみればものすごく納得がいきます。

第55回ー2024年6月27日

 

『THE CHILD CODE 「遺伝が9割」そして、親にできること/ダニエル・ディック』『地理学で読み解く流通と消費/土屋 純』『いま世の中で起きている「本当のこと」/及川幸久』『これを知らずに働けますか?/竹信 三恵子』『アメーバ経営/稲盛 和夫』『学びとは何か/今井 むつみ』『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇/ケント・ギルバート』『大学4年間の哲学が10時間でざっと学べる/貫成人』『スタンフォード大学 マインドフルネス教室/スティーヴン・マーフィ重松』『知識人とは何か/エドワード・W. サイード』『南方熊楠/唐澤太輔』

地理学で読み解く流通と消費/土屋 純:著者が学者であり、がっつり教科書風に書かれている書籍。日本という地理における流通と消費の歴史的な流れ、現象について、高校の歴史教科書(下記)のような文体で淡々と書かれています。

明治政府の改革は、政府の組織のほかに社会のさまざまな面にもおよんだ。文明開化殖産興業を合言葉として、身分制を廃止するなどの思い切った政策を続けざまに実行した。

まず身分制については、大名と公家を華族、武士を士族、百姓・町人を平民とあらため、1871(明治4)年には、それまでえた・非人とされていた人びとを、いわゆる身分解放令によって平民同様とした。平民には苗字を許し、異なる身分間の結婚や、職業の選択、住所の変更などを自由にした(四民平等

現代の日本史A 改訂版 / 山川出版社 / P.33

見事に情報は整理されているが、文体と内容の著述がこの形式なので読み手に「読書」ではなく「勉強/学習」のスタンスが求められます。退屈といえば退屈なのですが、基礎知識を得るという意味ではこれほどまとまりのある本はなかなか無いかなと。流通と消費にかかる業界のビジネスマンなら読んでおいて損はないどころか、こういった基礎の基礎をしっかり勉強しておくことは後々に非常に大きな効果を生むと思います。急がば回れ、ですね。

著者の主張には「中高生が学校でならう日本の地理学は、基本的に気候や産業についてばかりである。日本の地形においてどのように都市や地方が形成され、その都市と地方の関係性が流通や消費にどのように影響を与えたか。つまり流通地理学や消費地理学のようなものはほとんど学びません」というものが含まれています。

僕らは地理といえば地図記号や山・川・平野のような地形ばかりイメージしますが、物流や貿易なんてものはまさに地理学ですね。

第54回ー2024年6月7日

『農業と食の選択が未来を変える/赤穂達郎・井上正康・奥田正行・夫馬賢治 』『アメリカ映画の文化副読本/渡辺将人 』『ニューロダイバーシティと発達障害: 「天才はなぜ生まれるか」再考/正高 信男』『STRESS FREE: ネガティブな感情を力に変える ケンブリッジ大学の研究者が明かす科学的に正しいシンプルな63のメソッド/オリヴィア・リームス』『ドリルを売るには穴を売れ/佐藤 義典』『従順という心の病い/アルノ・グリューン, 村椿嘉信』『いま世界の哲学者が考えていること/岡本 裕一朗』『真説 老子: 世界最古の処世・謀略の書/高橋 健太郎』

 

『いま世界の哲学者が考えていること/岡本 裕一朗』タイトルに偽りなく「いま哲学者が考えていること」をテーマとしてたくさん列記し、どのように「考えているか」が書かれています。これは文字通り「どう考えているか」を描いているのであって、具体的な対策や方法論を述べたり回答を出しているわけではありません。

哲学や哲学史の最低限の知識が問われるのであまり初心者向けの本ではありませんが、「環境問題と経済発展」「遺伝子工学の発展とクローンの人権」「人類から宗教や宗教対立はなくなるのか?」などといったとっつきやすそうで興味のそそるテーマも扱われています。

読書会にお持ちいただいたのは2016年の単行本ではなく2023年に出た文庫本ということでこの7年に起こったことを「いま」として7章が追加されおり、以下3つのテーマを扱っています。

リベラル・デモクラシー vs トランプ、コロナ禍、ウクライナ戦争

どれもここ数年における世界に大きな社会変化・価値観変化を与えた出来事です。どの事象も個々人の価値観の自由や主張を重視する流れに対するカウンターのように扱われており、たとえばコロナにおけるロックダウンは明らかに自由民主主義というより中央集権的な政府からトップダウン的に強制力を働かせたよね、といった話の展開をします。

20分読書では本の全体像と7章しか読めませんでしたが、ほかの章もぜひ読みたいと思わせてくれる面白い本でした。

 

第53回ー2024年5月16日

『体験格差/今井 悠介』『利他・ケア・傷の倫理学/近内悠太』『直感と論理をつなぐ思考法/佐宗 邦威』『俺は、中小企業のおやじ/鈴木 修』『対象喪失の乗りこえ方/加藤諦三』『生命の暗号/村上和雄』『「音漬け社会」と日本文化/中島 義道・加賀野井 秀一』『サブカルの想像力は資本主義を超えるか/大澤 真幸』『億を稼ぐ人の考え方/中野祐治』『2.2坪の魔法/森田 隼人』『[新版]奇跡はいつも起きている/相川圭子』『ヒロシマの人々の物語/ジョルジュ バタイユ』

 

『体験格差/今井 悠介』子供にとって体験は「必需品」か「贅沢品」か。子供の体験(=アクティビティ)について、日本で初めて綿密かつキチンとした調査をした書籍。ここでいう体験とは、水泳や音楽関係の習い事といったものから家族旅行、放課後や休日の釣りやキャンプ、地域のお祭などまで幅広い要素を指す。もちろん、しっかりと定義づけがされている。

「子供にとって体験は「必需品」か「贅沢品」か」の問いについての議論は常にあるが、議論・問題解決のためには常に「正しい現在地」の把握が求められる。しかし、子供の体験についての調査結果はまったくなく、それを初めておこなった。収入により格差はあるか?都心部と地域で格差はあるか?親の体験経験は影響するか?これらは複合的にデータ化すると傾向は見られるか?なんとなく雰囲気で答えは出せそうなものだが、きちんとした議論にはきちんとした調査が必要。子どものアクティビティに対して客観的かつ明確なメスが入った。本書は「調査の結果(定量的)」「調査対象家庭をピックアップしてのインタビュー事例(定性的)」「調査結果を元に考えるとどのように格差に抗えるか(対策)」といった非常に明快な論旨になっている。結論の提示にはまだまだ時間はかかるが、議論の土台を築きあげた見事な一作。

 

『対象喪失の乗りこえ方/加藤諦三』:対象喪失という文脈を使いながらも、大人が抱えているあらゆる心理的コンプレックスに対して「直撃」を与えてくれる厳しさ120%の書籍。事実、ものすごくぶっ刺さりました。甘え一切なしの「愛の鞭」です。なぜ名声を求めるのか。なぜ歪んだナルシズムがあるのか。なぜ真面目さにこもるのか。八方美人してしまうのか。完璧主義なのか。神経質でいて、自分をさらけ出さず守るのか。ありとあらゆる心の自己防衛をこれでもかと切り開きます。

 

今回は13人も参加いただきました。次回も楽しみにお待ちしております。

 

第52回ー2024年4月25日

『電池の覇者: EVの命運を決する戦い/佐藤 登』『磯田道史と日本史を語ろう/磯田 道史』『地政学が最強の教養である/田村耕太郎』『「自傷的自己愛」の精神分析/斎藤 環』『コンプレックス/河合 隼雄』『ビンボーはカッコイイ/森永 卓郎』『トランスジェンダーになりたい少女たち/アビゲイル・シュライアー』『世界は経営でできている/岩尾 俊兵』『科学的な適職/鈴木 祐』『NOISE/ダニエル・カーネマン』『教養を深める/森本 あんり』

 

今日も幅広い書籍が集まって楽しめました。本読書会の特徴は「その場で読む」「回し読みをすることで他者の視点を楽しむ」ことですが、本日はその特徴が大きく出ました。

『世界は経営でできている/岩尾 俊兵』において、経営者の方はライトな書き方に物足りなさを感じ、日本文学専攻の大学生は文体の面白さと著名文学作品のパロディでつけられた副題を楽しみました。見ている視点がまったく違うわけですね。

どちらが良い悪いではなく、同じ本でも多様な解釈の仕方があるということで、コンテンツそのものではなくコンテンツと読み手の"その間にあるもの"こそが読書なんだと再認識させられます。

 

『教養を深める/森本 あんり』:教養を人間が人間らしく生きるためのもの、と定義されていました。これは通常の状態ではなく、天災や戦争といった異常状態においても人間が倫理観、つまり人間らしさを失わないですむための精神力を鍛えることという文脈で紹介されています。また、いつまでも"憧れ"を失わない精神の強さを保つためとも。大人になるにつれて現実はより冷静に現実味を増していきますが、教養とはその冷徹なる現実の中にいても、一種の憧れをもって自分自身や人類の明るい可能性を追求し続ける心の強さを育てるもの、だそうです。

 

『ビンボーはカッコイイ/森永 卓郎』:原著は1999年の書籍ですが、格差社会の拡大や金銭的価値観以外を求める人々が増えてきて社会の価値観は大きく変化するであろうことを経済データからもエッセイとしての観点からも予測しており、25年後の現在はまさにその時代なっています。慧眼といわざるをえません。1999年といえばようやくガラケーが普及し始め、iモードが登場し、モーニング娘がLOVEマシーンを歌っていたころです。SNSどころかブログのような個人発信できるようなツールはまだまだ無く、そんな時代に「個人が自分の価値観や好きなことを発信して、それが金銭的価値よりも重要でカッコイーと思われる」と語った本。

第51回ー2024年4月11日

『絶望の国の幸福な若者たち/古市 憲寿』『美術を書く/シルヴァン・バーネット』『博報堂クリエイティブプロデューサーが明かす 「質問力」って、じつは仕事を有利に進める最強のスキルなんです。/ひきた よしあき』『トランスジェンダーになりたい少女たち/アビゲイル・シュライアー』『親切で世界を救えるか/堀越 英美』『数学する身体/森田 真生』『エルドアンが変えたトルコ: 長期政権の力学/間 寧』『娘に贈る12の言葉/ジム ロジャーズ』『完全教祖マニュアル/架神 恭介・辰巳 一世』『君主制とはなんだろうか/君塚 直隆』

 

今日は参加者多数。この記事の過去ログにもあります2022年ごろの日付の読書会に参加してくれていた大学生が留学から帰ってきて、1年ぶりに参加してくれたのは非常に嬉しかったですね。

『君主制とはなんだろうか/君塚 直隆』:ちくまプリマー新書。中学生でも読める程度にかなり平易にわかりやすく書いてくれています。君主制を政治における権力を一人に集中させる政体・構造と定義し、その点で考えれば人類史においてもっとも古くかつ長く採用された政治体制であるということになる。君主制の成立から衰退までの流れを追うことは、そのまま世界史を知ることに。歴史に興味を持ちたい人はこの書籍をまず読んでみるのは非常に良いと思う。

 

『エルドアンが変えたトルコ: 長期政権の力学/間 寧』:この20年で爆発的な成長を遂げているトルコにおいて、選挙で3連続勝利し15年、さらにそこからも継続して政権を握り続けるエルドアンをベースに、どうすれば民衆からの指示を得られるのか?その力学は?を解説した書籍。日本人は東洋史やヨーロッパ史をよく学ぶが、メソアメリカ、アフリカ、中東の歴史や国について学ぶことは少ない。自分から遠い存在を学ぶことは、自分の枠を広げることに直接的につながる。知的好奇心を満たしながら物事を多角的に捉えるヒントを得られる書籍としても非常によし。

 

『美術を書く/シルヴァン・バーネット』:美術作品のキャプション、解説を書く人のための専門的書籍。実例多数。読書会では読むことは出来なかったが非常に興味深く読みたいなと思った本。

第50回ー2024年3月28日

『嫉妬論 民主社会に渦巻く情念を解剖する/山本 圭』『悪について/エーリッヒ フロム』『大坂 民衆の近世史─老いと病・生業・下層社会/塚田孝』『自由が上演される/渡辺 健一郎』『心理的安全性 最強の教科書/ピョートル・フェリクス・グジバチ』『ソシュールを読む/丸山 圭三郎』『記号論講義―日常生活批判のためのレッスン/石田 英敬』『人間学のすすめ/北尾 吉孝』

 

今回は哲学書が多く、過去一番むずかしい読書会となった。久々に主催者としては打ちのめされましたが、こういった書籍が登場すると燃えます。とても嬉しいことです。以下、今回現場で読んだ2冊。

 

『嫉妬論 民主社会に渦巻く情念を解剖する/山本 圭』:嫉妬とは何か?対処法や処方箋は?といった本ではなく、政治や経済のシステムの中で、嫉妬とはどのように機能しているか?を分析する異色の本。本来、嫉妬は心理学の分野であるが政治や社会システムから述べている。「稼いでいる他人を羨む嫉妬感情を持つ人たちが高収入者を勝手にチェックする機構になり、それは収税吏として無償で働く」といった観点などは非常に面白い。

 

『記号論講義―日常生活批判のためのレッスン/石田 英敬』:打ちのめされた本。20分ではまるで理解できず要旨をつかめなかった。おそらく「記号」という観点で社会やメディアを分析するといった趣旨なんだが、そもそも「記号とはなにか?」「記号論とはなにか?」の前提がわからない。少なくとも、一般名詞的な用法としての「記号」(道路標識や代数XやYなど)を指していないことはわかったが、では何を指しているんだろうか。世間一般で使われている用語である「記号」を、あえてその使い方ではなく利用する意図もまたわからず、読み手としてh混乱がより深まる。哲学は著者が用語を作って解説することはよくある形式であるが(たとえばイデア、テーゼ、など)、これが一般名詞(今回でいうと"記号")になった途端、非常に理解が難しくなる。そういった体験が得られただけで個人的には非常に満足で、脳みそに良い刺激のある時間だった。薄明塾の読書会としては大正解。

第49回ー2024年3月14日

『死なないための暴力論/森 元斎』『日本習合論/内田樹』『失敗の科学/マシュー・サイド』『感染症の歴史学/飯島 渉』『先生、犬にサンショウウオの捜索を頼むのですか! /小林 朋道』『残り97%の脳の使い方/苫米地英人』『ペリリュー玉砕 南洋のサムライ・中川州男の戦い/早坂 隆』

 

今日も唆る書籍が大集合。自分では絶対に視界に入ってこないだろうなぁという本が登場するのは読書会の楽しみですね。大阪読む読書会ではさらに”その場ですぐ読める"のが魅力でもあります。

 

『感染症の歴史学/飯島 渉』:新型コロナウィスルを「歴史学」に組み込んで評価するという本。歴史といえば積算する情報の整理整頓と評価にあります。人類史において唯一「情報社会」で起こったこのパンデミックでは、ありとあらゆる情報が飛び交いました。それは負の面もあって、ガセ情報の類も多かったということ、また、それらの情報の多くがまだ数年以内の出来事にもかかわらず削除されはじめていること。ガセ情報から守るためにYoutubeはAIを利用して大量の動画を削除したそうです。それによって誤った情報から人々は守られましたが、誤った情報が流布したということもまた「歴史」。ひとつの学びが無くなったとも言えます。このような視点を楽しめる本。

 

『日本習合論/内田樹』:あとがきにて著者は「あらゆる情報が単純化され分かりやすく処理させること。そしてその行為が100%良いものだとして受け取られる社会。それに"恐怖心"を感じたからこの書籍を著した」と書いていました。これに対して私はまったくの同感で、複雑なものを単純化しすぎることは、人間の知性を恐ろしい速度で劣化させていくだろうと同じく考える者です。単純化によって濾過された情報だけを接種するのであれば、もはや人間には読書なんて行為は必要ありません。2024年現時点においてAIに要約させれば事足りるからです。しかし、自らの目や脳を使って本を読み内容を自身で咀嚼するという行為それ自体が、人間の脳を鍛える行為になっています。こうして鍛えられた脳だけが、新しい発想や楽しみを見つけられるチカラをもっています。このあたりは薄明塾が行う3月の公開講座「脳科学」や4月の公開講座「ゲームデザイナーが教えるアイデアの生み方」などのキーポイントです。

第48回ー2024年2月29日

『科学者たちが語る食欲/デイヴィッド・ローベンハイマー』『カヨと私/内澤旬子』『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力/帚木 蓬生』『天才科学者はこう考える 読むだけで頭がよくなる151の視点/ジョン・ブロックマン』『〈公正(フェアネス)〉を乗りこなす: 正義の反対は別の正義/朱 喜哲』『生成AI時代 あなたの価値が上がる仕事/田中道昭』『理不尽な進化/吉川 浩満』『なぜ倒産 平成倒産史編/日経トップリーダー・帝国データバンク・東京商工リサーチ』『お伽の国-日本: 海を渡ったトルストイの娘/アレクサンドラ トルスタヤ』

 

人文科学に関わる熱い書籍群たちが揃いました。どれもこれも「他者の視点」があるからこそ得られる本。自分の枠外にある本を知れるのが読書会の楽しみですが、大阪読む読書会では「その場で読む」ので、興味をもったタイミングで自分で読めるのがさらに魅力です。以下は今回私が読んだ2冊。

 

『カヨと私』:小豆島でヤギと暮らしはじめたイラストレーター・エッセイストの実録エッセイ。人間同士も言葉がなくとも伝わるノンバーバルコミュニケーションがありますが、ヤギやその他の動物ともノンバーバルに感情豊かなコミュニケーションが出来ます。素晴らしく瑞々しい心地よい文体が、どんどんページを進め、彼女らの生活空間へと読み手を連れて行ってくれます。

 

『科学者たちが語る食欲』:生物は「自分が食べるべきもの」をどうやって選んでいるのか?という生物のシステムとしての食について。ヒヒやバッタやハエ、自然界にいる哺乳類や虫など多くの種の食行動を研究し「たんぱく質ターゲット」という共通の食選定基準を発見。それは人には当てはまるのか?までの検証と仮説。

第47回ー2024年2月15日

『非科学主義信仰 揺れるアメリカ社会の現場から/及川 順』『新編「男の作法」/池波正太郎』『自分の言葉で語る技術/川上徹也』『笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語/房野史典』『「笑い」の解剖:経済学者が解く50の疑問/中島 隆信』『ゼロからわかる 知らないと損する 行動経済学/ポーポー・ポロダクション』『パラサイト難婚社会/山田 昌弘』『バカと無知/橘 玲』『お伽の国ー日本―海を渡ったトルストイの娘/アレクサンドラ トルスタヤ』『法華経とは何か-その思想と背景/植木 雅俊』『大坂 民衆の近世史/塚田 孝』『暗黙知の次元/マイケル ポランニー』『数学する身体/森田 真生』『頂きはどこにある?/スペンサー・ジョンソン』『争わない社会: 「開かれた依存関係」をつくる/佐藤 仁』『マンガでわかる! セールストークの基本/松田 友一』

 

参加者11名にて2テーブルで運営。主催者側に登場した書籍としましては

  • 『非科学主義信仰 揺れるアメリカ社会の現場から/及川 順』
  • 『自分の言葉で語る技術/川上徹也』
  • 『「笑い」の解剖:経済学者が解く50の疑問/中島 隆信』
  • 『暗黙知の次元/マイケル ポランニー』
  • 『数学する身体/森田 真生』
  • 『マンガでわかる! セールストークの基本/松田 友一』

笑いの解剖学では、笑いの起こるメカニズムがフローチャートで図式。不自然さや解放感といった笑いの要素と言われる内容を非常にわかりやすく整然と列記している点が面白かった。このフローチャートを用いてのイジメと笑いの違いの説明などは興味深い内容。

就職活動で苦戦する大学生の持ってきてくれた「自分の言葉で語る技術」では、借り物言葉と自分の言葉(や本音)の違いや出し方、数学する身体では、人類はなぜ数字や数学を生み出し、どのように発展してきたかの話。特に「1つの道具が生まれると、それに付随する道具が次々に生まれて生態系を成していく(たとえば包丁が生み出されると、砥石やまな板が生まれる)」道具の生態系が数学という分野でも当てはまるよ、というたとえ話は理系でなくともわかりやすく楽しい。

いまだわかりやすく解明はできない「暗黙知というモノ」、コロナ禍前後で大きくキリスト教信者が増え、さらにQアノンなどの非科学信仰が増えるアメリカの事情など、今回も幅広く興味深い内容ばかり。

自分の枠の外にある知識や感情に出会うには、誰かのチカラを借りる必要がありますが、読書会にはその機能があると改めて思いました。

第46回ー2024年1月25日

『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力/帚木 蓬生』『「普通」に見えるあの人がなぜすごい成果をあげるのか 17万人のAI分析でわかった新しい成功法則/越川 慎司』『海馬 脳は疲れない/池谷 裕二・糸井 重里』『読書の価値/森 博嗣』『人口減少社会の未来学/内田 樹』『古代アメリカ文明 マヤ・アステカ・ナスカ・インカの実像/青山 和夫・井上 幸孝・坂井 正人・大平 秀一』

 

ある程度の教養を学んできた人間にとっては「論理的に効率的に最短距離を走るより、はた目には意味がなさそうで遠回りに思えるような事ほど重要で効果がある」ということは共通認識だと思う。シンプルにいえば「役に立たなそうなことほど、役に立つ」のである。

ネガティブ・ケイパビリティはその点を魅力的かつ暖かく述べているし、真逆に位置しているように思える『AI分析でわかった成功法則』でも「伸びて活躍する社員ほど、答えを探すより自分で考える工程を踏んだり、ショートカットせず遠回りする傾向がある」といった同様の結果が見つかっている。

対極に位置するように見えるものからも共通項が見つかると読書や知識欲としては面白さを感じずにはいられないなーと思います。

自分では選ばない書籍、自分には無い視点が流入してくるこの読書会スタイルは大変におもしろいです。

第45回ー2024年1月10日

『世阿弥/鎌田東二』『「変化を嫌う人」を動かす: 魅力的な提案が受け入れられない4つの理由/ロレン・ノードグレン』『匂いが命を決める/ビル・S・ハンソン、大沢幸子=訳』『反応しない練習/草薙龍瞬』『あなたのなかのやんちゃな神さまとつきあう法/金城幸政』『すごい言語化/小暮太一』

 

自然科学から人文系まで幅広く。どのような視点からも人間の善き在り様というものにはさほど差はなく、仏教視点でも世阿弥の能視点でも「変化を嫌う」の書籍でも、極意の部分はだいたい似通う。ただし、具体的に何をすれば?についてはいまだ回答無し。「変化を嫌う人を動かす」の書籍にも登場したが「この課題にアプローチして行動変容させることは非常に難しい。難しいながら一定の方法論はある」といった真摯な話題の展開をしている。

何が問題か?何が定義か?どういった在り様が良いか?はわかっていても、そのために何をすべきか?はまだまだ確立できない。もちろん、そんなものが確立されてしまうと人間はそれをやっていれば良しになるわけであって、人生の楽しみというのはすごく減ってしまうものと思う。どんな物事にも、「解き明かし、攻略する喜び」がある。

第44回ー2023年12月26日

『世界のマーケターは、いま何を考えているのか?/廣田周作』『D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略/佐々木康裕』『世阿弥/鎌田東二』『小さな会社の生きる道/中川淳』『反応しない練習/草薙龍瞬』『争わない社会 「開かれた依存関係」をつくる/佐藤仁』『所有と分配の人類学/松村圭一郎』『今日、誰のために生きる?/ひすいこたろう・SHOGEN』『とにかく仕組み化/安藤広大』『慧眼<問題を解決する思考>/大前研一』『ローマから日本が見える/塩野 七生』『チーズはどこへ消えた?/スペンサー ジョンソン』『子どもは40000回質問する~あなたの人生を創る「好奇心」の驚くべき力~/イアン・レズリー』

第43回ー2023年12月14日

『ビジネスシーンを生き抜くための仏教思考/松波 龍源, 野村 高文』、『ずっとやりたかったことを、やりなさい/ジュリア キャメロン』、『群集心理/ギュスターヴ・ル・ヴォン』、『鬼滅の社会学/井上芳保』、『なぜあの人の話に納得してしまうのか/中谷 彰宏』、『朝イチの「ひとり時間」が人生を変える』ほか。

 

仏教思想の書籍は、ビジネスシーンで話題に上がるけどなんとなーくになっている単語(VUCA、ポスト資本主義などの)を取り上げて、仏教の視点から分析するという興味を引く入り口から、ゆるくわかりやすく「相対の論理学」である仏教思考を解説してくれます。鬼滅の社会学で解説されていた「日本人の中にある武士道な、仏教な気持ち」への憧れへと通じる部分もあり。

ずっとやりたかったこと〜はモーニングルーティンを持つ重要性をいい、朝イチの「ひとり時間」〜はナイトルーティンの重要性を解く。

 

それぞれがそれぞれに書籍を持ち寄ったはずなのに、なぜか本と本につながりがあって、化学反応を起こす。

それを「持ってきた本の紹介や感想」というスタイルではなく、「その場で読むから、その場ではじめてつながっていたことを実感する」から、"読む"読書会は面白い。

第42回ー2023年11月29日

『争わない社会/佐藤 仁』、『「甘え」の構造/土居 健郎 』、『地球規模の気象学/保坂直紀』、『王を殺した豚 王が愛した/ パストゥロー,ミシェル』、『言語の本質/今井むつみ・秋田喜美』ほか。

 

歴史という科目はたいてい出来事や人物を中心に展開します。先日の読書会では「食卓の世界史」という「食」で歴史を追う書籍が登場し、「世界史は化学でできている」という「化学」で歴史を追う書物が登場しました。

今回は「動物」を主軸として歴史を追う書籍『王を殺した豚 王が愛した/ パストゥロー,ミシェル』が登場。また違った視点で人類史や文明を見ることができ、知的好奇心が刺激されました。

第41回ー2023年11月16日

食卓から世界史を読み解く書籍と化学から世界史を読み解く書籍が同時に登場。何かを学習するときには一本筋を通したテーマがあると理解しやすいことは共通ですが、両方の書籍ともにそれがよく現れていると思いました。

写真下にあります「発話の権利」が特に難解な書籍で、コミュニケーションを「やりとり」や「伝達」といった文脈ではなく、発話者と聞き手の権限の移動に着目して分析できないか?というものでした。論文集となっており、20分で趣旨を読み取るにはハードルが高いですが、集中した平日夜の2時間としては最高に濃い時間を過ごせました。

第40回ー2023年10月25日

社会人を中心に6名の方が参加。主催の私は開始30分前に梅田ジュンク堂の新書コーナーにて4冊選んで購入して持ち込み。「新幹線全史」「教養の人類史」「ランキングマップ世界地理」「理不尽な進化」

全体的に言語と思考と世界の関係性に関する書籍が多めながら、新幹線全史やランキング地理が彩りを与えてくれています。特に新幹線全史は「なぜそこを走っているのかを日本政治の当時の事情から」ということで、近現在の日本政治の流れを新幹線誘致という流れから解説した非常にそそる書籍でした。

リレーして2冊を読む。仕事後の19:00〜、1時間半で最高に濃い時間を今日を過ごせました。

第39回ー2023年10月21日

建築学科の高専生から40代の方まで幅広い年齢層でした。

人間学や現代哲学の潮流を把握できる書籍からドイツ史、中国「唐」の時代の貞観政要、冷戦から現在の流れまでを解説する地政学の書籍、世界中で大きな影響を与えている認知症の書籍など、その場で読んでシェアする2時間としては最高に多彩で濃い時間となりました。

第38回ー2023年10月5日

遺伝子研究の観点からの人類の起源〜現在「人類の起源」、食文化からみた人類の起源〜現在「食が動かした人類250万年史」、世界をデータで見直すFACT FULNESS、共感という機能は人類にとって本当に善なのか?を問う「反共感論」、それぞれが自由に本を持ち寄ったはずなのに一貫したテーマが感じられた痺れる読書会でした。

第37回ー2023年9月17日

名著「読書について」、USJ建て直しの森岡さん組織論、アメリカのキリスト教史

第36回ー2023年4月15日

名著「ルワンダ銀行総裁日記」を持ってきた大学生と大人が学ぶ地政学

第35回ー2023年4月01日

写真忘れのため記録無し。

第34回ー2023年3月11日

詩学と陽明学とチームワーク。振り幅がすごい。

第33回ー2023年3月4日

武者小路実篤の哲学書からイギリスについて。

第32回ー2023年2月25日

物理・数学の書籍からフランス人のファッションまで。

第31回ー2023年2月18日

宗教から食品まで

第30回ー2023年2月11日

高校日本史の教科書(山川日本史)と日本人の氏名の誕生の歴史を読み比べていく非常に濃かった読書会。

第29回ー2023年1月28日

ソニーの半導体から認知科学、英語学習法など

第28回ー2023年1月21日

写真撮り忘れのため記録なし

第27回ー2023年1月14日

道徳の棍棒外交たる現代のドイツナショナリズムvsドイツ出身愛の哲学者フロム

第26回ー2023年1月7日

近世近代のイギリスからリーンスタートアップの本まで

第25回ー2022年12月24日

ジャーナリズム本や哲学書など

第24回ー2022年12月17日

孟子の革命思想からオランダから愛についてまで。

第23回ー2022年12月10日

妻のトリセツを学びながら築地本願寺の経営学を学ぶ日

第22回ー2022年12月3日

名著「文明の衝突」が登場

第21回ー2022年11月26日

プロゲーマー梅原大吾から半導体まで。

第20回ー2022年11月19日

二村ヒトシの哲学名著「すべてはモテるためである」やトヨタ生産方式まで。

ベルギー本はベルギーに留学予定の阪大院生(理系)の子の持ち込みです。

第19回ー2022年11月12日

ベルギーについてよく知れる本から椿井文書という偽書の歴史本まで。

第18回ー2022年11月05日

関西学院大学の関連高校にあたる「啓明学院」の創立者の本「世の光・地の塩」というレア本が登場。

第17回ー2022年10月29日

古典的名著から最新のAIの話まで。

第16回ー2022年10月22日

古典的名著の少女漫画ほか。この日は「うる星やつら」や「はいからさんが通る」なども登場。

第15回ー2022年10月15日

USJの建て直しから地政学にロスチャイルド家の話まで。

第14回ー2022年10月8日

現代EUのジャーナリスト本から資本論から矢沢永吉まで。

第13回ー2022年10月1日

着せ替え人形は恋をするのまりんちゃんと資本主義の歴史の温度差がすごい。

第12回ー2022年9月24日

本によって本の読み方を変えようという観点での「読書術」についてみんなで議論しました。

第11回ー2022年9月17日

写真撮り忘れのため記録無し

第10回ー2022年9月10日

このあたりから参加者が安定して増えました。

この日は心理学関連の本が多いことが目立ちます。

第9回ー2022年9月3日

音律と音階の科学が非常に面白かったことが記憶に残っております。

第8回ー2022年8月27日

ヒトはアルコールをどのように分解するのか?をキチンと知るために学会の論文集を読みました。

第7回ー2022年8月20日

書店めぐりのときの写真のみ残っていました。

第6回ー2022年8月13日

写真撮り忘れのため記録無し

第5回ー2022年8月6日

写真撮り忘れのため記録無し

第4回ー2022年7月2日

第3回ー2022年6月28日

第2回ー2022年4月2日

写真忘れのため記録無し

第1回ー2021年11月23日

20211123読書会#1

第1回は論語をみんなで読みました。

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